不動産投資には大勢の人が関わるため、トラブルが発生することがあります。不動産投資をする際には、事前にどのようなトラブルがあるのかを知っておくことが非常に大事になってきます。また、不動産投資では巨額な資金が動くため、詐欺師も暗躍しています。詐欺の被害に遭わないようにするためにも、不動産投資のトラブルを知っておくことは極めて大切です。
今回は不動産投資によくある様々なトラブルについてご紹介します。
契約・購入前のトラブルについて
投資案件を取り扱う不動産業者の中には、悪質で強引な方法で契約させる業者が後を絶ちません。自分が納得した投資案件以外、そして信頼できる不動産業者以外からは、絶対に契約してはいけません。「自分は騙されたりしない」と誰もが思うのですが、実際にトラブルは起きています。以下、代表的な手口を紹介します。
まず、このような悪質業者は、あなたの職場に電話をかけてきます。何度も何度も不動産投資を勧め、断られてもしつこく連絡します。そしていざ面会すると、長時間にわたって「絶対に赤字はない」「老後のためになる」「税金対策になる」などといった説明を行い、その場で契約するか、もしくは次に会う日程を決めるまで帰らせません。リスクについては彼らから語りません。そして契約を断ろうとすると強い口調で契約を迫られたり、「契約いただくまで帰りません」と強引に契約を要求します。
後から「リスクについて聞いてなかった」と騒いでも後の祭りです。クーリングオフがあるとはいえ、納得のいかない契約は絶対に締結してはいけません。不動産投資会社の営業電話による強引なセールスでトラブルに巻き込まれた時には、消費者生活センターに相談するか、悪質な場合は警察に連絡をしましょう。
運用トラブルについて
不動産投資の運用トラブルで多いのが家賃の滞納です。不動産投資の収益源は入居者からの家賃ですので、家賃を滞納されるとオーナーは致命的な損害を被ります。家賃滞納による運用トラブルを防ぐには、家賃保証会社と契約をしておくことが大切です。
家賃保証会社と契約しておくと、滞納があった場合には家賃保証会社が支払いを代行してくれますので、オーナーは確実に家賃を受け取れるようになります。最近はオーナーの多くが家賃保証会社と契約をしているため、以前に比べると家賃滞納による運用トラブルは減少しています。ただし次項でご紹介していますが、家賃保証制度のトラブルについてもよく理解しておく必要があります。
また、入居者が自殺や孤独死をすると事故物件になってしまうことがあり、入居者の確保に支障をきたして十分な収益が得られなくなってしまいます。このようなトラブルを防ぐためには、異変に気づいた時にはとにかく迅速に対処することが大切です。迅速に対処することで、損害を最小限に抑えられます。
空室率が増えて家賃収入が減ってくると、銀行からの借入金が多いオーナーは債務超過に陥ってしまうことがあります。自己資金だけで不動産投資をしている場合は別ですが、銀行から多額の融資を受けて不動産投資をしている人は、空室率を低くして債務超過に陥らないように努力をすることが大切です。
家賃保証制度のトラブルについて
家賃保証制度とはサブリースとも呼ばれ、管理会社が一括で物件を借り上げ、空室に関わらず毎月一定の金額をオーナーに振り込んでくれる制度です。これを利用すれば毎月のキャッシュフローが安定しますし、空室リスクを怖がる必要もありません。しかし、家賃保証制度のトラブルが後を絶ちません。国会でも問題視されたほどです。
その内容とは、「契約当初より大幅な家賃減額を打診された」「減額を受け入れないと契約解除すると言われた」「高額な保証料を請求された」といったものです。日本の借地借家法では、借主が有利に制度設計されており、家賃保証のケースでは管理会社が借主に当たります。オーナーが自力で物件を立て直せればよいのですが、管理会社の要求をやむなく呑み込み、泣き寝入りするケースも見られます。
リスクを軽減するための家賃保証制度が、逆にリスクになっている矛盾が起きています。契約条件を慎重に確認するとともに、管理会社に頼りすぎない健全な賃貸経営を意識し、家賃保証制度を正しく活用しましょう。
入居者トラブルについて
不動産投資で直面する身近なトラブルとして、入居者トラブルがあります。例えば、入居者が暴力団関係者であったり、近隣住民と喧嘩をしたり、物を壊したり、そのような事例があります。特に一棟アパートを経営される方だと、一部屋トラブルを抱えると、他の住民への影響も心配です。一気に空室が増えたり、修繕費がかさんだりすることで、オーナーの賃貸経営に影響を与えます。
入居者はお客様ですが、後々トラブルを抱えないよう、不動産会社と連携しながら見極めをすることも必要です。
売却トラブルについて
所有している収益物件を売却する際には、仲介を依頼する不動産会社の選定が重要になってきます。営業力が乏しい不動産会社だと物件がなかなか売れず、キャッシュフローが悪化することがあります。不動産投資をする際には、日頃から信頼できる不動産会社と付き合っておくことが大切であり、信頼できる不動産会社であれば、適正価格で早期に売却できる可能性が高いです。
不動産投資の売却トラブルとして、オーナーが所有している収益物件を「押し買い」する不動産会社が存在します。売る意思がないのに強引に売却することを迫られた時には、毅然と断ることが大切です。
不動産投資詐欺の手口と誘い文句
不動産投資詐欺の手口で多いのは、言葉巧みに価値のない物件を価値があるように見せかける行為です。稀なケースですが、他人が所有している物件を言葉巧みに売りつける「地面師」という詐欺師も存在します。このような詐欺の手口を見抜くためには、詐欺師がよく使う誘い文句を知っておくことが大切です。不動産投資詐欺の誘い文句で多いのは、次のようなものがあります。
「この物件は30%以上の利回りが確実です」
都会で30%を超えるような高利回りの収益物件はあり得ませんので、極端な高利回りを謳う誘い文句を言われたら、疑ってかかるべきです。不動産投資をする際に利回りはとても重要になってきますので、不動産投資会社が提示している利回りは本当なのかを調査することが大切です。
「今しかありません」「このチャンスを逃したら絶対に後悔しますよ」
営業マンがよく使うセールストークですので、必ずしも詐欺であるとは断定できませんが、契約を急かされる場合は慎重に検討してから決断した方が良いでしょう。
不動産投資詐欺に引っかからないための心得
不動産投資詐欺に引っかからないようにするには、信頼できる専門家に相談するのが一番です。不動産投資をする際には銀行から融資を受けることが多いので、銀行の融資担当者に相談すると詐欺の被害を未然に防げます。銀行の融資担当者は金融や投資のプロであり、収益物件の安全性を徹底的に調査します。銀行の融資担当者が融資可能という審査結果を出した時は、まず大丈夫でしょう。
まとめ
いかがでしょうか?今回は不動産投資にまつわる様々なトラブルについてご紹介しました。
どの投資案件にも同じことが言えますが、契約する際は内容をよく確認し、自分や周りの人々が納得するまで検討することが重要です。起こり得るトラブルを事前に把握し、トラブルを回避するよう心がけて不動産投資を行っていきましょう。