不動産投資は「ミドルリスク・ミドルリターン」と言われることがあります。
確かに、賃料は景気に左右されにくく、長期に渡り安定収入を得ることができる点では「ミドルリスク」と考えることもできます。
しかし実際は、「大きなリスクはあるが、しっかり管理すれば回避できる」と言う方が正確です。そのためには知識を持って慎重に準備をすることが不可欠で、不動産投資のリスクを正しく理解しておかないと自己破産に直結してしまいます。
この記事では、不動産投資のリスクと対策方法ついて解説します。
不動産投資のリスクとは?
不動産投資のリスクを一挙に羅列します。正しく把握することで失敗の可能性を減らすことができます。
〈不動産投資のリスク〉
1.借入リスク
2.空室リスク
3.滞納リスク
4.物件価格下落リスク
5.家賃下落リスク
6.災害リスク
7.修繕リスク
8.賃貸会社倒産リスク
このように不動産投資には多くのリスクが潜んでいます。しかし正確な知識があれば、全てのリスクに適切に対処することができることも、合わせて覚えておきましょう。
「借入リスク」とその対策方法
借入リスクとは?
上手にローンを活用できた人は成功が近づきますが、不動産会社に言われるがままにローンを組むと失敗します。家賃収入だけでローン返済計画を組むと、長期間空室になったり家賃が滞納されたりすると、一気に投資が立ち行かなくなります。
年収数百万円の人が1億円の借り入れを起こすこともできるのが不動産投資ですが、金額と金利については十分検討する必要があります。
絶対額が大きい分、金利1パーセントの上昇が大きなインパクトになってきます。例えば、5000万円を金利2パーセント・15年完済で組んでいたとして、金利が3パーセントになると、月々約3万円も負担が増えます。
家賃を上げられる可能性は限りなくゼロにも関わらず、支払いが上がるリスクは常に付きまとっていることを頭に入れておく必要があります。
借入リスクの対策方法
借入リスクを回避するためには、自己資本比率を上げることと、上げていくことです。購入時の借入金を減らすことで、金利上昇時も影響を小さくできます。
高い固定金利ではなく低い変動金利を利用することをもちろんおすすめしますが、金利の上昇による借り入れリスクを避けるためには、購入時に不動産会社が複数の金融機関との提携があるほうが安心ではあります。不動産購入時には不動産会社が提携している金融機関の状況も参考にするといいでしょう。
また余裕資金ができた時はレバレッジを効かせて2件目の投資に充てるのも良い選択ですが、将来の金利状況を見ながら繰り上げ返済をすることで借入リスクをコントロールできます。
ひとつの目安として、借入比率が40パーセント未満になれば、金利上昇時も対応できる水準だと言えます。
「空室リスク」とその対策方法
空室リスクとは?
不動産投資の最大のポイントは「物件の目利き」であることは言うまでもありません。
いくらローンの組み方がうまくても、そこに家賃が発生しなければただの負債になってしまいます。どんなに良い物件でも、入居者がいなければ家賃はゼロです。利回り0%の負債を抱えることになってしまいます。他のすべてのリスクに対応していても、空室である限りその不動産投資は失敗してしまいます。
空室が増えてキャッシュフローが悪くなったら売却すればよいという考えもありますが、誰が空室だらけの物件を購入するでしょうか?
売却にも時間がかかるか、安値で買いたたかれるか、「空室リスク」は売却戦略にも関わってきます。資産価値があり、将来に渡って賃貸需要あるいは売買需要がある物件を購入しましょう。
空室リスクの対策方法
賃貸を購入するときに最も気を付けるべきは「将来に渡って賃貸需要があるか、空室リスクが低いか」という点です。
空室の可能性を低く、空室の期間を短く、リスク回避する方法は「競争力のある商品を選ぶこと」につきます。競争力とは、様々な要因で決まりますが、簡単に言うと「物件の立地と物件の商品力」です。
まず、不動産は立地で決まると言われるとおり、駅距離・アクセス・用途地域など、総合的に「将来に渡って住みやすいか」「賃貸需要があるエリアか」を検討しましょう。人口減少社会の中、都内や地方都市の方が競争力が高いことは間違いありません。
続いて商品力ですが、「家賃設定」と「室内設備」が重要なのは言うまでもないでしょう。どんなに素晴らしい物件でも、家賃が20万円になると、住める人々の対象がぐっと小さくなります。多くの方がイメージする賃料は6〜10万円と言われますので、都内ワンルームなどは適切です。
室内設備にも正解はありませんが、独立洗面台や風呂トイレ別は人気です。オートロックやエレベーターなどが整った設備も、入居者には高いセールスポイントになっている物件としてあてはまるでしょう。
このほかには管理会社の入居者募集による入居率に高い実績を持っている場合は、空室を減らすために努力していると考えられますのでそうした管理会社に委託することもリスクを軽減できるでしょう。
「災害リスク」とその対策方法
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災害リスクとは?
日本は地震大国です。小さいものも数えると1カ月に150回地震が起きています。不動産投資をするにあたっても、地震や火災による被害は頭に入れておく必要があります。
特に物件購入前、火災保険に加えて地震保険にも加入するかどうか、よく検討しなければ、半壊・全壊となったときに負債だけが残ってしまうリスクがあります。
災害リスクの対策方法
建物も入居者も守るため、地震に強い物件を選択しましょう。
具体的には、1981年以降に作られた新耐震基準の物件を選ぶことです。これは基本的に震度6強以上でも倒壊しないとされています。実際に、阪神淡路大震災や東日本大震災でも新耐震基準のマンションは倒壊がありませんでした。
また、火災保険・地震保険も合わせて検討することで、災害リスクに対応することができます。購入を希望する物件の耐久性や自然災害に対しての保障制度、火災発生時の保障内容なども理解しておくとよいでしょう。
滞納リスク、物件価格下落リスク、家賃下落リスクとその対策法
不動産投資のリスクの最後に、滞納リスク、物件価格下落リスク、家賃リスクとはどのようなことか、そしてその対策についてもご説明します。
滞納リスク
滞納リスクとは、所有している物件の入居者による家賃滞納が起きてしまうことを指します。滞納リスクの対策は、家賃保証会社を利用すればほぼなくなります。所有物件に応じて適切な維持費を検討することで不動産投資を安心して進めることができます。
物件価格下落リスク
物件価格下落リスクも購入時に想定するために把握しておくことが大切です。この物件価格下落が起こる可能性をどのように見極めるか、購入時の検討材料として欠かせないポイントです。
国土交通省の発表する計画などの情報や、地域のハザードマップで行政が災害を想定した情報を確認しましょう。そうすることで、今後インフラ整備が進められていくエリアなのかどうかなども見えてきます。国土交通省が発表している立地適正化計画によって自治体が将来的にどのような計画をしているのかということも参考になるでしょう。
家賃リスク
空室が出てしまった場合、家賃を下げることを考えたことはあるのではないでしょうか。また、周りに新築物件が立ち並び、家賃を下げざるを得ない場合もあるのが現実です。しかし家賃を少し下げただけで、物件の価値は大きく目減りしてしまうのです。
家賃が下がるリスクを最小限に抑えるためには、購入時の立地が大きく関わってきます。場所の価値が大きい場合、家賃が下がる可能性も低くなります。購入の際は家賃リスクを考えたうえで決定することをおすすめします。
また、家賃が下がるタイミングは入居者が変わるときが主でしょう。入れ替わり時に家賃を下げないために、部分的にでもリフォームを行ったり、リノベーションをしていくことが重要です。一番よいのはその物件にしかない価値を付けていくことでしょう。
まとめ
いかがでしょうか?
ここまで、不動産投資のリスクとその対策方法についてまとめてみました。
どの投資にもリスクはつきものですが、特に絶対的な金額が大きくなる不動産投資では、ひとつのリスクが破産に直結します。適切な対応をすることで、確実に管理・回避できます。事前のリスク管理を怠らず、安定経営を目指しましょう。