昨今、不動産投資への注目が高まっています。人口減少による公的年金の縮小、終身雇用制度の崩壊、続く経済の不況などからくる不安に対して本業とは別の収入を持つことで将来に備えたいという人が増えているのです。
この記事では、不動産投資としてアパート経営を始めたいと考えている方向けに、始めるために重要な準備や考え方のポイントをご紹介していきます。アパート経営を成功させるコツもあわせてご説明しますのでぜひご覧ください。
前提条件の決定
ひとえにアパート経営と言っても、様々な投資のやり方があります。やり方によって戦略や発生するリスクも変わってくるので、自分がどういったパターンで投資をするかあらかじめ決めておくのは重要です。
ここではパターンごとの比較を簡単にまとめておきます。
新築 vs 中古
投資対象としてアパートを購入するとき、新築と中古どちらがよいでしょうか。自分が住む物件であれば綺麗で新しい新築がいいかもしれませんが、投資対象として購入する場合は必ずしも新築が良いとは言い切れません。
新築
メリット
・入居の需要が高く、空室率を抑えることができる
・修繕費などランニングコストが低い
・物件の寿命が長いことを生かして長期で事業計画が立てられるため、長期ローンも組みやすい
デメリット
・物件価格が高く、初期費用もかかる
・用地の確保、建築を終えてから入居者の募集となるので実質の稼働まで1年程かかる
中古
メリット
・物件価格が安く、初期費用を抑えることができる
・既に建物が存在するので、周囲の状況や日当たりなど直に目で確認して購入できる
・新築に比べて利回りが高い
デメリット
・修繕費などのランニングコストが新築に比べてかかる
・審査が厳しくなり融資も受けづらくなる
都心部 vs 地方
物件を購入する上で立地はとても重要なファクターです。都心部で購入するか、地方都市で購入するかで戦略も変わってきます。
都心部
メリット
・人口も多く利便性も高いことから空室率が低い
デメリット
・土地代及び物件価格が高い
地方都市
メリット
・土地代が安いため、利回りが都心部より良い
デメリット
・空室率が高い
新築 vs 中古に比べて一長一短が如実に出ていることがわかります。
土地に関して情報収集
投資パターンが決まったら、より詳細に立地に関して情報を集めましょう。先ほど述べたように不動産投資で立地はとても重要です。新築で新しく土地の購入を考えている人も、中古物件を狙って既にある物件を選ぼうとしている人も、その土地の不動産価値を分析することが大切です。
分析として必要な観点は長期に渡り入居者がいて、きちんと利益を上げ続けられるか否かです。調べる際は該当する土地周辺の駅や沿線の利便性、人口や世帯数の推移、大学や企業の新退出が有効なデータになってくるはずです。この辺の情報はインターネットから十分得ることが可能です。また東日本大震災以降、自然災害に対する関心が高い人も多いでしょう。市町村など自治体のホームページにハザードマップや過去の災害事例の記録を公開しているので、参考にしてみてください。
必要となる自己資金の最低ラインとは
購入資金の調達もアパート経営の始め方の第一歩となりますが、自己資金ゼロでアパート経営をするのは非常に難しいです。金融機関から資金調達をするには、最低でも物件価格の1割から3割程度の頭金を用意しなければならず、それとは別に、物件価格の7%程度の初期費用が必要になってきます。初期費用には仲介手数料や融資手数料、登録免許税、不動産登記費用などがあり、これらの費用は自己資金で調達するのが原則です。
小規模のアパートであれば2,000万円程度で購入できますが、頭金として約200万円、初期費用として約140万円が必要になりますので、必要となる自己資金の最低ラインは350万円程度です。ただし、頭金を1割に抑えるためには、かなりの収益が見込めることを融資担当者に説明して納得させることが必要です。一般的に高年収になるほど金融機関の審査は通りやすくなるため、500万円以上の年収があれば300万円程度の自己資金でもアパート経営を始めることが可能です。
フルローンを利用すると自己資金ゼロでも不動産投資をすることができますが、返済期間が長くなることで利息の負担が重くなるため、あまりおすすめできません。どうしても自己資金ゼロのフルローンで不動産投資をしたい場合は、かなりの収益性が見込める物件を探すことが不可欠です。ただし、フルローンを利用する場合でも物件価格の7%程度の初期費用は用意をしておくことが必要です。
管理会社の選び方
アパート経営の始め方では、管理会社の選定が重要になってきます。もちろん、管理会社を使わずにオーナー自らが管理をすることも可能ですが、家賃滞納者に対する督促や入居者のクレーム処理などを全て自分でしなければならず、かなり大変です。また、入居者が退去すると新しい入居者を自分で探さなければならず、空室リスクが高くなってしまいます。管理会社に不動産管理を委託すると、オーナーに代わって管理会社が集金や入居者募集などの全ての管理業務を代行してくれますので、アパート経営がとても楽になります。
管理会社を選ぶ時の重要なポイントは、管理会社に営業力があるかどうかです。清掃や家賃の徴収、クレーム処理などの日常的な管理業務は営業力がなくても問題はありませんが、入居者を募集する業務は営業力が不可欠です。アパート経営にとって最大のリスクは空室の発生となるため、空室が発生した時には速やかに新しい入居者を募集して満室の状態を維持しなければなりません。営業力が強い管理会社だと、空室が発生した時には速やかに新しい入居者を見つけてくれますので、満室の状態を維持することができます。
アパート経営で成功するコツとは
アパート経営で成功するためには、できる限り自己資金の割合を増やすことがコツになります。自己資金の比率が高いとローンの返済が楽になりますので、キャッシュフローが良くなり賃貸経営が安定します。手持ちの現金に余裕があると、急なリフォーム工事などの予期せぬ出費に備えることができ、資金ショートを防げます。
また、築年数が経過している古い物件ほど予期せぬ出費が多くなるため、古いアパートを購入する際には特に自己資金の割合を増やすことが大切です。借入金の比率が高いレバレッジを効かせた不動産投資は資金効率が高いですが、空室が増えると資金ショートを起こす恐れがありますので、あまりおすすめできません。
アパート経営では良い管理会社を選ぶことも成功するための大事なコツになります。アパート経営が成功するか否かは、空室を減らして満室の状態を維持することにかかっています。営業力がある管理会社だと、空室が発生したら直ぐに新しい入居者を確保してくれますので、満室の状態を継続させることができます。
良い管理会社を見つけるには、業界での評判が参考になります。評判の良い管理会社は営業力が強く、空室リスクの低減に大きく貢献します。また、評判の良い管理会社は賃貸経営の良きアドバイザーになってくれますので、プロの知恵と経験で賃貸経営を成功に導いてくれます。
まとめ
いかがでしょうか?
今回ご紹介した内容は、経営を成功させる上で非常に重要な事前準備と言えます。しっかり準備した上で無理のない不動産投資をしてください。