
「不動産投資に興味を持ち始めたけど、どれくらいお金が必要かわからない」「不動産投資って元々お金がある人がやるイメージ」こういった方は多いのではないでしょうか。
具体的にどれだけの費用がかかるかわからないと計画が立てづらく、中々行動に移せないものです。また、わからないゆえに想像ばかり膨らんで、不動産投資は富裕層による投資方法というイメージが強くなってしまいます。
この記事ではそういった方向けに、不動産投資の初期費用としてどういったものがかかるかをご紹介します。
物件価格に対する自己資金

不動産投資の初期費用として、まず考えるべきは自己資金です。これは物件購入時に組むローンの頭金となるお金です。
一般的には購入する物件価格の10%〜20%が自己資金の目安と言われています。2,000万円の物件であれば、200万〜300万円です。最近では自己投資金ゼロのフルローンで始める人も多いですが、やはり最初の自己資金が多いことに越したことはありません。
国内最大の不動産投資サイト「楽待(らくまち)」では、初めての不動産投資で使った自己資金がいくらだったかのアンケートを取っています。
0円 |
6.1% |
100万円 |
10.2% |
100万円以上 |
15.3% |
300万円以上 |
23.5% |
500万円以上 |
24.5% |
1,000万円以上 |
17.3% |
3,000万円以上 |
1.0% |
5,000万円以上 |
2.0% |
(楽待新聞アンケート結果より引用)
500万円以上と300万円以上の割合がほぼ変わらず、上位に存在します。これらの結果をみても自己資金としては200万円から500万円くらいを想定しておくといいと言えるでしょう。
経費にできる初期費用とは

不動産投資の初期費用には物件価格に対する自己資金以外にも、不動産特有の諸経費が必要となってきます。税金としてかかるものもあるため、ここでは最新の税率で紹介します。
(1)不動産仲介手数料
不動産仲介会社から物件の紹介をしてもらった場合にかかる手数料です。法律により仲介手数料の上限は以下のように決められています。
200万円以下 |
5% |
200万円超え400万円以下 |
4% + 2万円 |
400万円超え |
3% + 6万円 |
(2)不動産取得税
不動産を取得した時に都道府県が課税する地方税です。納める額は「固定資産税評価額」×「税率」で計算します。固定資産税評価額とは市町村の固定資産課税台帳に登録されている価格です。税率は不動産の種類に応じて、下記の通りとなります。
(3)登録免許税
購入した不動産の所有権登記を行う場合に納める税金です。支払額は下記のとおりです。
土地・建物の売買で所有権移転する場合
・固定資産税評価額 × 2%
抵当権を設定する場合
・債権額 × 0.4%
(4)司法書士手数料
登記申請を司法書士に依頼する場合に発生する手数料です。依頼する司法書士によって異なるので必ず見積もりを取るようにしましょう。相場としては5万くらいのようです。
(5)印紙税
売買契約書に貼り付ける印紙代です。平成30年3月31日までに作成されたものであれば軽減措置が取られます。しかし、それでも契約金額が5000万円を超えるものには3万円、1億円を超えるものには6万円とバカにできない金額がかかります。
(6)融資事務手数料
銀行などの金融機関から、住宅ローンを組む際にかかる事務手数料です。
以上のように不動産を売買するときには、様々な種類の税金や手数料がかかってきます。税金はどうしようもありませんが、(1)と(4)の各種手数料は交渉次第で引き下げられる部分なので、少しでも初期費用を抑える努力をしてみましょう。
また、これらの諸費用は経費にすることができますが、一括で費用計上して経費にできるものと、資産計上して減価償却するものに分けられます。仲介手数料は一括で経費にすることができず、資産計上して減価償却をすることになります。司法書士への報酬と登録免許税、不動産取得税、金融機関への融資事務手数料は一括で経費にすることができます。印紙税(収入印紙代)については、不動産売買契約書に貼る収入印紙は資産計上されますが、金銭消費貸借契約書に貼る収入印紙は一括で経費にすることが認められています。これらの他に建物に対して消費税がかかります(土地には消費税はかかりません)が、建物価格には消費税があらかじめ含まれており、消費税は減価償却資産の取得費として減価償却で費用計上することになります。
資産計上して減価償却を行う初期費用
・仲介手数料
・不動産売買契約書に貼る収入印紙代
・建物にかかる消費税
一括で費用計上して経費にできる諸費用
・司法書士への報酬
・登録免許税
・不動産取得税
・融資事務手数料
・金銭消費貸借契約書に貼る収入印紙代
不動産投資の初期投資のリスクとは

不動産投資をする際には、投資用のマンションやアパート、テナントビルなどの収益物件を購入することが必要になります。投資用の物件を購入する際には土地と建物の購入代金だけでなく、仲介手数料や司法書士への報酬などの諸費用の支払いも必要になってきます。諸費用の合計金額は物件価格の6%から9%になりますので、5,000万円の物件を購入する際には、300万円から450万円程度の諸費用が別途必要になってくるわけです。よって、不動産投資をする際には諸費用も必要になることを知っておかないと資金不足になってしまい、不動産投資ができなくなります。
また、物件購入時に必要となる諸費用は、実質利回りを計算する際に不可欠になってきます。不動産投資をする際には利回りが非常に重要な指標になりますが、投資用不動産の広告で表示されている利回りは表面利回りであり、大雑把な表面利回りだけでシミュレーションをすると不動産投資に失敗してしまいます。不動産投資をする際には諸費用などの経費がかかりますので、経費を考慮した実質利回りでシミュレーションをしないと正確な予測を立てることはできません。
不動産投資の初期費用を抑えるためのポイント

物件購入時に不動産会社に支払う仲介手数料は売買代金の3.15%+63,000円が上限であるため、高額な投資用物件を購入する際には仲介手数料も高額になります。仲介手数料は交渉次第で安く値切ることが可能ですので、ダメ元でも仲介手数料の値切り交渉をすることが大切です。交渉に成功するとかなりの金額の初期費用を削減することができます。なお、取引形態が「売主」と「販売代理」の場合は仲介手数料がかかりませんので、仲介手数料不要の取引形態の物件を選ぶと、初期費用を大きく抑えられます。
不動産取得税は固定資産税評価額×3%になるため、初期費用の中では高額だと言えます。不動産取得税は物件購入時に納付するのではなく、物件を購入後、半年から1年程度で納税通知書が届いてから納付することになります。不動産取得税は一括納付が原則ですが、どうしても一括納付ができない場合には分割納付をすることができます。分割納付をすることで資金繰りが楽になりますが、延滞税がかかりますので、この点には注意が必要です。
不動産投資ローンは様々な金融機関が行っていますが、融資手数料は金融機関によって違ってきます。ネットバンクは融資手数料が安いケースが多く、ネットバンクの不動産投資ローンを利用すると初期費用を抑えられる場合があります。ただし、融資手数料は安くても金利が高い場合がありますので、総合的に検討することが大切です。
まとめ

いかがでしょうか?
今回は不動産投資にかかる初期費用として、物件価格に対する自己資金とその他かかる諸経費をご紹介しました。この記事で得た知識を使えば、検討している物件を購入する時にかかる初期費用をある程度シミュレーションできるはずです。是非計算して頂き、具体的な計画を立ててみてください。