ローンの返済方法にはいくつも種類があり複雑です。同じ金額を借りる場合でも、返済方法によって返済総額には差が出ます。そのため、物件運用にあたって、どのようにローン返済をするのが一番有効か分からないという方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、ローン返済の基本や、ローン返済をよりスムーズに行うことができる「繰り上げ返済」について解説します。そのうえで、物件運用にもっとも有効なローン返済方法をまとめます。
ローン返済の仕組み
不動産投資物件を購入する場合、不動産投資ローンを利用する人が多いのではないでしょうか。
ローンは、「金利の種類」や「返済方法」を組み合わせて返済を行います。「金利の種類」と「返済方法」にはいくつか種類があり、それぞれ違ったメリット、デメリットをそなえています。
また、状況によって最適なローンの組み方は異なります。そのため物件を賢く運用するためには、それぞれのローンの返済方法のメリットやデメリットについてしっかり把握しておく必要があります。
金利の種類
金利は借りた金額に応じて発生しますが、これには3つのタイプが存在します。
全期間固定型
全期間固定型では、金利は返済が完了するまで変動がなく一定です。
金利が一定なので契約の段階で支払総額が明確になり、将来の金銭的な計画が立てやすいというメリットがあります。反対に、金利相場が低いときでも最初に決めた金利で返済をしなければならないというデメリットがあります。
変動金利型
変動金利型では、金利は返済の開始から終了までの間、定期的に見直しが行われます。
メリットは、金利相場が当初予想していた金利よりも低くなれば、予定よりも返済額が少なく済む可能性があるという点です。ただし、デメリットとして、金利相場が高くなればその分返済額も高くなるという点があります。
固定金利期間選択型
固定金利期間選択型では、金利ははじめの一定期間のみ固定型になりますが、その期間が終わると変動型になります。
返済方法
ローンの返済方法には、大きく分けて2つの種類があります。
元利均等返済
元利均等返済は、返済期間中の返済額が毎月一定になる返済方法です。
毎月支払う金額が同じであるため返済計画が立てやすいというメリットがあります。元金均等返済に比べると返済開始時の返済額が低いため、利用しやすいという側面もあります。ただし、返済当初に支払う金額は元金ではなく利息にあてられ、元金の減りが遅くなるため、結果として総返済額が多くなるというデメリットがあります。
元金均等返済
元金均等返済は、毎月同じ額の元金と、元金の残高に応じた利息をのせた金額を支払う返済方法です。
返済当初から元金が減っていくため、支払う利息の総額が少なくなるというメリットがあります。そのため、返済総額は元利均等返済よりも少なくなります。また、返済が進むにつれて毎月の返済額が少なくなっていくという特徴があります。その反面、返済当初の返済額が大きいという点がデメリットです。
繰り上げ返済の種類と効果
ローンを組むときは、ここまで見てきたいずれかの方法で毎月返済していくことになります。しかしそれ以外にも、手持ちの資金に余裕ができたときは別途返済を行うことが可能となります。それが「繰り上げ返済」です。繰り上げ返済をすれば、毎月の返済を待たなくても借入残高を減らすことができます。
月々の返済額は元金と利息の両方にあてられていますが、繰り上げ返済では支払った金額のすべてが元金にあてることが可能です。そのため、繰り上げ返済をするとそれだけ利息も減らすことができます。
繰り上げ返済には2つの種類があります。
・期間短縮型
毎月の返金額は変わりませんが、返済期間を短くすることができます。
・返済額軽減型
返済期間は変わりませんが、毎月の返済額を引き下げることができます。
繰り上げ返済のメリット・デメリット
繰り上げ返済をすれば月々の返済以外で元金を減らすことができるため、メリットが大きいです。とはいえ、少なからずデメリットもあるため状況に合わせて慎重に検討していきましょう。
繰り上げ返済のメリット
返済残高が減る
すでに説明済みですが、繰り上げ返済をすれば元金が減り、その分利息も減らすことができます。資金に余裕があるときなど任意のタイミングで行うことができるため、とても便利です。
返済総額が減る
繰り上げ返済をすれば、その分支払う利息を減らすことができます。繰り上げ返済をする時期が早ければ早いほど、利息を軽減する効果が高くなります。
また、とくに期間短縮型の繰り上げ返済なら、返済期間が短くなるため利息を大幅に減らすことができます。利息の軽減が目的であれば、返済額軽減型よりも期間短縮型がおすすめです。
毎月の返済額が減る(返済額軽減型の場合)
返済額軽減型の繰り上げ返済をすれば、毎月の返済額を減らすことができます。そのため、毎月の出費を少しでも減らしたいという場合には返済額軽減型がおすすめです。
繰り上げ返済のデメリット
手持ち資金の減少
繰り上げ返済をすると、当然ながら手持ち資金が減少します。当然のことですが、手持ち資金が少ない場合に無理に返済にまわしてしまうと、不測の事態に備えることができなくなります。繰り上げ返済をするときは、資金に余裕をもったうえで行うようにしましょう。
手数料がかかる
繰り上げ返済をするには、1回につき5万円程度の手数料がかかります。手数料の金額は金融機関によっても異なりますし、ネットバンクでは手数料が無料の場合もあります。
手数料がかかる場合は、一度にある程度まとまった金額を繰り上げ返済するのがおすすめです。月々の返済に限らず、繰り上げ返済についても計画的に行いましょう。
どんなローン返済計画が有効か?
ここまでローンの返済方法について見てきました。最後に、物件運用にかかるローンの返済計画として有効な手段をまとめます。
金利
まず、金利が低ければ低いほど、利息を減らすことができます。そうなれば当然、返済総額も少なくおさえることができます。また、金利の種類は大きく分けて固定型と変動型がありますが、金利が上がるリスクを完全に避けるためには固定型を選ぶことをおすすめします。変動型を選べば金利が下がり返済額も減る可能性もありますが、反対に金利が上がって返済額が増えてしまうこともあります。
返済方法
返済総額を最小限におさえるためには、元金均等返済を選ぶのがもっとも有効です。元金均等返済は返済初期の返済額が大きいですが、だんだん返済額が少なくなっていきます。返済総額も元利均等返済に比べておさえることができるため、返済初期に余裕があるようであれば元金均等返済を選ぶようにしましょう。
繰り上げ返済
資金に余裕ができたら月々の返済を待たずに、繰り上げ返済を行うと返済総額も減らすことができます。繰り上げ返済をする時期が早ければ早いほど、利息を減らす高い効果を期待できます。また、繰り上げ返済には数万円の手数料がかかるため、ある程度まとまった金額を返済するのがおすすめです。
まとめ
ローンの返済方法はいくつも種類があり、選ぶ方法により返済総額にも影響があるため、慎重に選ぶ必要があります。どの返済方法を選んだとしても、繰り上げ返済は随時行うことができます。
まとまった資金が手に入った場合は、ほかの物件運用にまわすか、返済にまわすか迷うところです。今後の運用方針にもよりますが、繰り上げ返済は返済を進めることができるという点では非常におすすめです。